【人気講師インタビュー】私のゼロイチとターイングポイント
株式会社 らしさラボ 代表取締役 伊庭正康さん
年間200回のセッション リピート9率割以上の研修トレーナー
顧客を見つけることが先ですよ
ーどのような企画で講演研修をされているのですか?
主なお客様は大手企業様で、そのうち半分が営業セクション、残り半分が人事セクションです。営業セクションからは人事とは別で流れで営業ラインの予算で「営業研修」を発注いただけるケースが多く、人事セクションからは半分が「リーダーシップ」残りは「時間管理」「ストレスマネジメント」「交渉術」などです。
現状はオンラインが7.8割、リアルが2.3割といったところです。(2021年6月時点)
最初の1年目に順調にいけたのはリクルートのお陰です。
ー講師になりたい方の多くは一件目の依頼に苦労します。伊庭さんの講師デビューの経緯と最初の依頼はどのように得たのか教えていただけますか?
めちゃくちゃ慎重にスタートしました。当時、役員だった上司に「リクルートを辞めて研修事業をやりたい」と伝えたところ、「一度テストしよう。良かったらうちでやってくれ。ダメだったら外でやってくれ」と提案されました。今考えれば上司の愛情だったと思います。結果良かったということでリクルート絡みの仕事が中心のスタートとなりました。最初の1年目に順調にいけたのはリクルートのお陰です。
スタートして2年は「湖の中で仕事をしている」というイメージです。まだ大海原に出ずに湖の中で知り合いを手繰って営業をしていました。まずは元リクルートとかリクルートの別部門とか湖の中で固めようとしました。しかし湖もそんなに広くないことに気づき、大海原に出ていこうと決心しました。
ーちなみに独立後の収入はどうなりました?
正直、増えました。「1.2年後にリクルートを辞めて研修をやりたい」と妻に話したときに「辞めてもいいけどAヨミとBヨミで2000~3000万くらいつくることを条件にしない?」と交渉されました。ヨミとはリクルートでは見込客のことをいいます。(ヨミ管理:Aが確度が80%、Bが50%、Cが30%)妻もリクルート出身だったので AヨミとBヨミで2000~3000万ぐらいあれば最終着地でリクルートと同じくらいの収入になると計算したのです…私もその通りと納得して辞める前にヨミをつくってました。知人の会社で無料で研修させてもらい「辞めたら研修させてくれますか?」と聞いていました。2年後、湖の中で発注もらえる見込みがついたので退職を決意しました。
「なぜ僕を選んでくれたのですか?」その答えを自分の強みにする
ー現在に至るターニングポイント
スタートしたものの湖のなかだけではリスクがあるので外部の仕事を取る方法を模索しました。その時、人材育成業界の人から講師派遣会社を紹介してもらい5社くらいまわりましたが依頼はないまま1年くらいが経ちました。
ターニグポイントになったのは講師派遣会社の労働組合担当の方から「地方銀行の従業員組合の講演やりませんか」と連絡をもらったことです。すぐに「やります!」と答えてしっかり準備をして臨みました。結果は好評いただき、さらに組合は横のつながりがあることから一気に他の地方銀行に広がりました。やっぱりリクルート関係ばかりの実績よりも金融機関の実績が加わったのは大きかったです。また「研修」と「講演」の使い分けを知ってたのもこのときです。まさに門が開き湖から海に出た瞬間でした。
ー依頼が続く講師になるために必要なことを教えてください。
常にお客様に「なぜ僕を選んでくれたのですか?」と聞くようにしています。すると想定外の答えが出ることが多いのです。いただいた意見をもとに自分の強みを発見し伸ばしていくようにしています。僕の場合「質疑応答に強い」と言われることが多かったのです。主催担当者様からは「普段質問がでないのに伊庭さんの時はたくさん出る」とか「カウンセリングをやっているようだ」とまで言われました。これは営業のキャリアで質問を引き出すことに長けていたようです。そのような評価を受け、これまで無意識でやっていたことを意識的に多く入れるようになりさらに評価があがりました。つまりお客様が選んだ差別化要因を伸ばすことが重要なのです。
「コンテンツより顧客探しが先」
ー最後にこれから講師デビューを目指す方にアドバイスをお願いします。
第一歩は「コンテンツより顧客探しが先」ということです。コンテンツありきではなく顧客を見つけ課題を聞いてからそれに合ったプログラムをつくるという順序です。いわゆる受注生産です。お客様のニーズに沿いながらコンテンツを増やすのが僕の場合は正解でした。これから講師になる方はよほどヒットコンテンツがあるなら別ですが、基本的にお客様の課題から入るほうがいいと思います。もちろん手ぶらではいけませんが一つ二つコンテンツを持っておき、課題を聞いてからあらためて企画書を出す方がいいでしょう。
言葉変えれば「流しの歌手」みたいなものです。お客様のリクエストに対して「歌えます!」と即答するイメージです。「俺のヒット曲聞いてくれ!」じゃあストライクゾーンが狭くなってしまいます。言葉変えれば「流しの歌手」みたいなものです。お客様のリクエストに対して「歌えます!」と即答するイメージです。「俺のヒット曲聞いてくれ!」じゃあストライクゾーンが狭くなってしまいます。
株式会社 らしさラボ 代表取締役 伊庭正康
”一般論ではなく、実践的でスグに使える”、”学ぶだけでなく、明日からの元気が出る”ことをモットーにした研修のリピート率は95%。1969年京都生まれ。1991年リクルートグループ入社(求人情報事業)。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。その後は、リクルート社においてプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、また40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。リクルート流の「圧倒的な当事者意識」を持つ組織作り、人材育成法を会得。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。リクルートで学んだ「圧倒的な当事者意識」を持つこと、「期待に応えるだけではなく、期待を超える」ことの大切さを説くべく、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッションを行っている。