講演研修は冒頭の「つかみ」で決まる

講演研修では冒頭の「つかみ」が重要です。
冒頭でつかみ損ねると後々まで受講者の集中力に影響してしまいます。

そこでプロ講師は、異質のアプローチから「つかみ」を入れます。
例えば、「動物」「スポーツ」「歴史」等々をうまく引用します。ただし全く関係ない話をするわけではありません。「スポーツ」の話から入って「目標設定の大切さ」などに落とし込みをします。つまり、入口が違っても出口は同じなのです。

この記事では「自然界の営み」とビジネスを絡めた『比喩』を紹介します。
気に入ったものがあれば、そのまま使っていただいてもアレンジしても結構です。

ちなみに本文は拙著より引用しております。

プロ講師が使っている 朝礼・スピーチの「つかみ」話材

安宅 仁 著 日本実業出版社

5秒で引きつけ、心を動かす―「自然」が教えてくれる仕事と人生で大切なこと。

ナマコとカニのライバル意識


漁師は沖合でとったナマコを港に生きたまま持ち帰りたいけど、
港に着いたときには死んでしまっていることが多いそうです。

そこで漁師の知恵でナマコを入れた水槽にカニを入れます。
なぜ、そんなことをするのでしょうか…

実はカニはナマコの天敵なのです。
ナマコはカニが水槽に入ってきた事で臨戦態勢に入ります。

「おい!みんな天敵が来たぞ気をつけろ!」
「カニの野郎なんかに喰われてたまるか!」

その結果、ナマコは生命力を上げて、港に持ち帰っても元気を保っているそうです。

「あいつさえいなければ」と思う時もありますが
ライバルがいるからこそモチベーションを上げ成長させてくれるんですね…

学び

ライバルを意識して成長を加速しよう

カマスの固定観念


カマスを水槽に入れて、中央に透明なガラスの仕切りを入れます。
そして、仕切りの反対側に餌となる小魚を入れると、
カマスは仕切りが見えずに頭から何度もぶつかります。

「痛っ!」「グェ!」と繰り返しているうちにカマスは学習します。
「ここから先は絶対に行けない」「ここを越えようとすると痛い目に遭う」と。

その後、ガラスを取り除いても、カマスはガラスの壁があった先には行きません。いくら飢えて苦しくても、ガラスがあった先には絶対に行けないと決めつけているのです。

なんて馬鹿なんだろう……と思いますか
僕たちも「これは無理」「前にやって失敗したから」と決めつけていることはありませんか?

実は、カマスをガラスがあった先に行かせることは簡単なんです。
それはガラスがあったことを知らない、新しいカマスを水槽に入れるのです。
すると、新しいカマスは、水槽の反対にある餌に一直線に向かいます。

その姿を見た、元からいるカマスは「なんだ、行けるのか……」と気づき
「よーし、俺たちも行くぞ!」と行動を起こします。

質問

あなたの「ガラスの壁」はなんでしょう? その壁ってまだありますか?

ときに「比喩」は直球よりも心に響く

いかがでしょうか?短い話ですが刺さるときは結構あります。
冒頭はこのような比喩を使うことも考えてみてください。

もっとも偉大なのはメタファーの達人である。通常の言葉は既に知っていることしか伝えない。我々が新鮮な何かを得るとすれば、メタファーによってである

もっとも偉大なのはメタファーの達人である。通常の言葉はすでに知っていることしか伝えない。我々が新鮮な何かを得るとすれば、メタファーによってである。

アリストテレス 『詩学』より