変化に対してリスクをとって挑戦する

今回もかつて連載していたコラムを紹介させていただきます。
このコラムは拙著「プロ講師が使っている朝礼・スピーチの『つかみ』話材」を大幅に加筆して書下ろし寄稿です。「自然が教えてくれる仕事と人生で大切なこと」として自身に置き換えたり、講演・研修・セミナーでの『つかみ』に使っていただいても結構です。

今回は「リスクを取って挑戦することの意義」を自然界のエピソードに絡めた話です。
研修で受講者にチャレンジ精神を説くときに直接的に話すのではなく、このようなたとえ話から入ると効果的です。

 PDF版

63号『道経塾』「生きものがたり③」

 原稿版

トンボの市場開拓とバッタの革新

ウズバキトンボはとても寒さに弱く、暖かい地域でしか冬を越せません。日本では主に沖縄で生息していますが、春になると九州や四国に北上してきます。さらに年々、北限は拡大し、近畿、関東を越えて、東北、北海道までその範囲を広げています。今や夏場には、全国で普通に見られるトンボになりました。しかし、ほとんどのウズバキトンボは北国の秋風によって息絶えてしまいます。

 なぜ、そんなリスクを背負って北上するのでしょう。住み慣れた暖かい土地で安全に生きればいいのに……。その理由は、生息圏の拡大を追い求めているからと言われます。〝これから地球温暖化が進むにつれて、日本中で生息できるようになるかもしれない〟〝反対に沖縄が住みにくい環境になることだってありえる〟〝生態が寒さに対応できるように変わるかもしれない〟そんな未来を見据え、子孫繁栄のために命がけで挑戦しているのでしょう。

 一方で、バッタはジャンプ力が優れているが、長距離飛行するだけの翅を持っていません。しかし、歴史的にもバッタの大群が大移動した話は多く、近年も世界中で起こっている現象があり、これを「飛蝗」といいます。飛蝗が起こる原因は、旱魃などで食糧が減り、生活範囲が狭くなって、個体密度が高まることで生態自体が変わることにあるそうです。生活環境の大幅な変化に対して、生活圏を変えるために翅が長くなり飛べるように変身すると考えられています。つまり、生き残るために、翅を大きく進化させてブレークスルーしたのです。

現在は変化の時代で、私たちをとりまく経営環境も常に変わると考えなくてはいけません。企業経営においては、現状のビジネスが好調であっても、いつその市場が大幅に縮小するか予想ができません。大手企業が参入してくることもあれば、同業他社の値下げによって価格破壊が起こることもあります。なんらかの規制によってビジネスモデルが成り立たなくなることだってあるかもしれません。つまり、ウズバキトンボのようにリスクを取りながらでも新たな市場の可能性を探らなくては、将来にもっと大きなリスクを抱えることになりかねないのです。

 さらに言えば、自らの能力を超える事態においては、バッタが危機に対して翅を大きく進化させたように、企業も生態ごと変えるくらいの気持ちが必要です。つまり、会社を揺るがすほどの危機に対しては、現状を肯定してよりよくする「改善」ではなく、現状を否定して根本を変える「改革」を断行しなくては手遅れになってしまいます。バッタは飛蝗せずに旱魃の土地で違う食糧を探す努力をしても生き残れないことを知っているのです。

ビジネスでは選択と集中が大切であることは前号で書きましたが、並行して長期的な視点で、すぐに成果が出ないことにも挑戦していかなくてはいけません。ウズバキトンボのように未来のビジネス環境の変化を見据えて、新しい市場を開拓し続けましょう。また、苦しい時にこそ新しい強みが生まれるのです。現状を打破するために、長く翅を伸ばし「飛蝗」するのです。

 御社も未来を見据えて「北上」を試みませんか?また、危機に伸ばす「翅」はどの事業でしょうか?

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