人材不足は人材開発でカバー
「2025年問題」のリスク
目前に迫る「2025年問題」のひとつに『人材不足』があげられます。
「2025年問題」とは団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるということで、医療、介護、社会保障が立ちゆかなくなる課題です。団塊世代が介護が必要となることで、団塊ジュニア世代にも影響が出てきます。その結果、社内でリーダーシップをとっている40,50歳代の介護離職が懸念されています。これが当サイトで丸山法子先生が問題提起している「ワーキングケアラー」問題です。
採用の前に現有戦力の能力アップ
中長期的視点で経営をとらえれば採用活動は必須です。しかし、それ以前に人材開発を考えるべきではないでしょうか。現有戦力の能力アップによる生産性向上を同時進行で考えなくてはいけません。
実際、人材をひとり採用すれば給与、社会保険等を合わせると年間最低でも500万は必要です。さらに採用、教育コストを考えると、その倍はかかるかもしれません。それでも退職してしまうかもしれないのです。
ここで発想の転換をして、現在の従業員に500万で人材開発投資をするとどうなるでしょう。1名の採用と現有戦力の強化では、どちらが生産性を高めることができるでしょうか。
もちろん、現在の従業員の負担を大きくするという意図でなく、能力開発でいまと同じ時間で生産性があがり、結果、配分が増えるとしたら従業員側も理想的なのではないでしょうか。
人材開発に熱心な企業には、優秀な人材がエントリーする傾向があります。逆に成長意欲のない人はエントリーしなくなります。つまり人材開発にコストをかけることで採用効率も上がるのです。
東京商工会議所「採用と人材育成」の調査
昨秋、東京商工会議所はコロナ禍の採用活動・インターンシップ、人材育成、教育支援活動の取り組み状況に関する実態や課題などを把握するため、標記アンケートを実施し、調査結果を発表されました。
「企業における採用・人材育成・教育支援に関するアンケート調査」結果
中小企業でも87%が人材育成をおこなっているとのことです。やや実感と違うのは東京調査ということもあるかもしれません。
ただし取組みとして一番多いのが「OJT」の78%で、「社内での集合研修」「外部の集合研修の派遣」がともに56%ということですが、対象は新入社員、若手が中心でした。
また課題のトップが「計画的、体系的におこなっていない」が45%、次に「上長等の育成能力や指導意識不足」「多忙で時間の余裕がない」と続いています。
東京商工会議所の調査結果を見て、恐らく全国で同じ調査をすれば人材育成の意識はもっと低いのではないかと想定します。この傾向から「だからわが社も必要ない」と考えるか「だからこそ研修をやろう」と考えるかは、それぞれの企業によって事情も戦略も違うでしょう。
人材開発による生産性アップを推奨する【プロ講師ドットコムPARTNER】としては、この結果を競争優位性を高めるチャンスと捉えることをお勧めいたします。
まとめ「人材開発は経営戦略」
- 人材不足には、現有戦力の人材開発というオプションもある
- 人材開発に投資することで優秀な人材の採用につながる
- 人材開発によって競争優位性を発揮する