現役社長の講演は、話術より愚直さが響く

アドバイスしてって言ったから…

講演をはじめてまもない現役経営者の講演に同行した時の事です。

講演前に「これからのために、今日、話を聴いてどんな小さな事でもダメなところは指摘して下さい」
と頼まれておりました。

現役経営者が講演する際は、無理にノウハウ化せずに実体験を真摯に話すのが一番説得力あり感動する講演になると思います。

現役社長の講演は、変に上手過ぎるのも良くありません。
プロ研修講師の様なテクニックを現役経営者が使うと、かえって説得力がなくなります。

そういう意味では、今回の経営者の講演は、話術が巧みでないのがむしろ良くて、実体験から来る迫力があり、相対的にとてもいい講演であると感じました。

特に指摘することもないと思いましたが、アドバイスの希望もあり同行したのに、終了後のミーティングで、「特に何もありません。いまのままでいきましょう」と答えるのもどうかと思いましたので、「とても良かったですが、あえて言えば~」と3点程の改善点を提案しました。

その瞬間に、「どんな小さな事でも気付いたら~」
と言っていたのに関わらず、明らかに不機嫌になってしまいました。

きっと十分準備して、自分なりに講演に自信があったんでしょう。
あれだけ指導を希望していながら、本音では『何も言う事はありません。抜群でした。私も感動しました』
というコメントを待っていたのでしょう。

やはり現役社長へのアドバイスは難しいです…

慣れていないからと躊躇しながら(本当に無理なら断るはず)、引き受ける場合は、実際は自分の話に自信を持っているのでしょう。

私もとても勉強になりました。

こういう場合は、十分評価したうえで改善点は本人が自分で気づく様な話をしなくてはいけないのでしょう。
私もコーチングスキルを持っていながら失敗したと思いました。
そもそもこの人にはアドバイスは不要だったのかもしれません。

でも、アドバイスを求めるなら多少の指摘は聞いてくださいネ。

うまくなりすぎた…

別の現役社長の講演に同行したときのことです。
こちらの社長はかなり場数を踏んでいる人でした。

移動中に「いやー上手くなりすぎた」と嘆いています。
その時は、私は「また自慢してるんだな」と思っていました。

しかし講演が始まり嘆きの意味を理解しました。
先の言葉通り”うまくなりすぎていました”…

私はその社長が講演をはじめたころから知っております。
当時は緊張しながら自分の実行してきた経営戦略を丁寧に話している印象でした。
ところどころ言葉を失いながら手元のメモを見て一所懸命話していました。

それから5年経ち、この日久しぶりに見た社長はテレビ通販のように流暢に話しています。
以前は自分のやったことだけ話していたのに、今回は経営コンサルタントのように分析して横文字まで使っていました。

話は格段にうまくなっています。

しかし心に響くのが以前より弱くなっています。
私だけか?主催担当者も過去の社長を知っています。
それとなく感想を聞いてみると…

「昔の方がよかったな」

やはり…これを社長に進言するべきか…最初の事例の社長のように気を悪くするのでは…
しかし、移動中のつぶやきから自覚はあるようです。

帰路の列車でそれとなく言いました。
やはりご自身でも感じていたようです。なんか反応がイマイチだと…

その後、コンテンツを見直して本やセミナーでインプットしたコンテンツは排除しました。
あらためて自分のやってきたことに絞り、そこからの解釈も無くして受講者が自ら考えるようしました。

するともとの実践経営者講師としての輝きを取り戻しました。
そうなれば話がうまくなっていることも嫌味ではなくなり強みに変わりました。

講演だけで帰ったら従業員に申し訳ない…

有名な外食産業の経営者に講演をお願いした時の話です。
どうしてもという主催者の依頼を受け私は何度もお願いしてなんとか快諾いただきました。
その社長はTOPが講演会をすることに懐疑的な方でした。

実施は11月後半でした。
忙しい時期だったようで登壇直前に会場入りされました。
現場で待機していた私は気が気ではありませんでした。

いざ講演がはじまるとそのカリスマ性に驚愕しました。
話術は抜群でストーリーもドラマのように聴講者を引きつけて放しません。

私は数多くの現役経営者の講演に立ち会いましたが、そのなかでもTOPクラスのひとりです。

講演が終わり私が控室にアテンドしようとすると社長はこうおっしゃいました…

「従業員が一所懸命働いているときにTOPが講演なんかしていい気持ちになっていたら申し訳ない。
いまから講演を聞いてくれた人たちに忘年会のチラシを配らせてもらいます」

と会場ロビーに向かいました。
私は「社長!そんなことは私がしますから」と思わず言ってしまいました…
一瞬「そんなこと?」と鋭い目を向けられましたが、
「これは私の仕事です」とロビーで「是非、○○を皆様の会社の忘年会に使ってください」
チラシを配りだしました。

私は言葉を失いました。心から感動してのです。

間違いなくパフォーマンスではありません。
社長のチラシの配り方を見たら誰でもわかります。

その後、また講演をお願いしましたが、以降、やはり経営者が講演すべきでないというスタンスは変わらず受けてもらえませんでした。

誤解があるといけないのですが、私は経営者が講演すべきでないとは思っておりません。
この話は現役経営者の姿勢として記憶に残っているエピソードとして紹介しました。

現役社長講師は本業があってこそ

現役社長の講演は人気があります。
ほとんどの方が最初は忙しいので受けれないと言います。
しかし頼み込まれて仕方なく引き受けて登壇します。

そこで講演の快感を知ります。
自社で従業員に話すのとは全然違う「高揚感」「達成感」です。

そこから講演にのめり込む社長が出てきます。
気づいたら講演家になっていたなんてこともありがちです。

しかしそのことが経営を悪化させているとは限りません。
社長が会社をあけることで後進が育ちだし、講演先で本業に結びつくこともあります。

ただ、講師として長くやっていきたいのであれば現場感覚は無くさないことです。
現役社長という価値は絶大なのです。

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