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ひとりで悩まない…「ファミリーキャリア」

目次

共働き時代に労働組合が支援すべき新たなキャリア戦略

労働組合が見過ごせない「共働き夫婦のキャリア停滞」というリスク

現代の労働環境において、共働き世帯はもはや主流です。しかし、夫婦の収入が家計の柱となる一方で、出産・育児、介護といったライフイベントが起こった際、どちらか一方、あるいは夫婦両方のキャリアが停滞するという深刻なリスクに直面しています。

従来のキャリア論は、個人が単独で専門性を高めていくモデルが中心でした。しかし、現代の共働き夫婦にとって、キャリアとは「家族全体で共有し、共に意思決定し、相互に支援しながら築いていくもの」へと変貌しています。
そして、労働組合こそがこのファミリーキャリアの健全な実現を支援するべきであると考えます。

企業が「人的資本経営」を掲げ、従業員一人ひとりの市場価値向上を訴える今、組合員の約半数を占める共働き世帯のキャリア課題を放置することは、組合員の生活防衛という最も重要な使命を見過ごすことになります。

ファミリーキャリアを「停滞」させる3つの壁

共働き夫婦がキャリア停滞に陥る背景には、以下の3つの構造的な壁が存在します。

1. 「暗黙の優先順位」の壁

育児や介護といった時間的な制約が発生した際、多くの場合、収入や立場が低い方のキャリアが優先的に犠牲にされます。これは論理的な判断に見えますが、「どちらかが諦めるべき」という暗黙の前提に基づいた、夫婦のキャリア機会の不平等を招きます。昇進・昇格のチャンスが巡ってきた際、夫婦間でどちらが家庭の役割を引き受けるかという「ゼロサムゲーム」に陥りやすい構造です。

2. 「見えない家事・労働」の壁

時短勤務や在宅勤務が増えても、子育てや家事、介護といった「見えない労働」の多くは、依然としてどちらか一方(多くは女性)に偏りがちです。この「家事タスクのマネジメント」や「精神的な負担」が、時間や体力を奪い、結果として自己研鑽やスキルアップに使える時間を失わせ、キャリアの停滞を招きます。

3. 「情報格差」の壁

自身のキャリアやライフプランに関する情報を、夫婦間でオープンに、かつ戦略的に共有できていないケースが多くあります。例えば、数年後の互いの昇進の可能性、リスキリングの必要性、転職市場の動向などを共有しないままでは、家族としての最適な意思決定ができません。個人キャリアの延長線上で、家族というチームの未来を設計する視点が欠けています。


労働組合が担うべき「ファミリーキャリア支援」の3つの柱

労働組合は、企業側の人事制度をチェックするだけでなく、組合員という「人」の生活とキャリアの当事者として、ファミリーキャリアを積極的に支援する責務があります。

柱1:戦略的な「夫婦対話」を促す教育研修の実施

ファミリーキャリアを円滑に進めるには、夫婦が「経営会議」のように戦略的に話し合うスキルが必要です。

  • テーマ例:「キャリアプランニング・夫婦ワークショップ」
    • 内容: お互いの「キャリアの価値観」や「数年後の目標」を言語化し、共有するプログラム。育児や介護が発生した場合のシミュレーションと、役割分担のロードマップを共同で作成する実践的な演習の導入。
    • 効果: 夫婦を「家庭内プロジェクトチーム」として機能させ、感情論ではなく、データと計画に基づいた意思決定を可能にする。

柱2:「見えない労働」を可視化・再分配する啓発活動

家事や育児を「手伝う」という意識から、「共同で責任を負う」という意識へ変革を促す啓発活動が必要です。

  • 活動例:「家事・育児タスクの棚卸しセミナー」
    • 内容: 夫婦の家事・育児タスクを全てリストアップし、それぞれの心理的負担度をスコアリング。その結果に基づき、タスクを「仕事」として再分配する具体的な手法を紹介。
  • 効果: パートナーシップの不均衡を解消し、一方に集中しがちな負荷を軽減。時間と心に余裕が生まれ、両者がキャリア構築に集中できる環境を整備。

柱3:制度の「使いこなし」と「公平性」のモニタリング

企業が提供する育児・介護休業制度や時短制度を、組合員が不安なく利用できるよう、組合が徹底的に支援します。

  • 活動例:「育休・時短復帰者の実態調査とヒアリング」
    • 内容: 制度利用者がキャリアで不利益を被っていないか、昇進・昇格の評価において公平性が保たれているかを、現場の声を基にチェック。企業に対し、「両立支援制度の利用者」を「将来の幹部候補」として積極的に育成するよう提言。
  • 効果: 制度の形骸化を防ぎ、「制度を使ったら出世できない」という職場の負のジンクスを払拭。組合員の雇用とキャリアの機会均等を守り抜く。

組合がファミリーキャリアを支援する真の意義

労働組合がファミリーキャリア支援に注力することは、単に組合員サービスを増やすことに留まりません。それは、組合員一人ひとりの市場価値(人的資本)を最大限に高める活動であり、結果として企業全体の生産性向上にも貢献します。

組合員が家庭内での安定した基盤の上に、自信をもってキャリアを築けるようにすること。これこそが、労働組合が令和の時代に果たすべき、最も重要で未来志向の役割なのです。貴社のような専門事業者は、この分野に特化した講師とコンテンツを提供することで、組合の変革を強力に後押しできます。

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