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労働組合にとって講演会はオワコンなのか?


時代の変化と、組合員が求める新たな価値

1990年代、労働組合にとってレクリエーション事業は組合員に対する価値提供のひとつでした。週末に開催される運動会、ボーリング大会、そして文化講演会は、組合員の家族も巻き込む一大イベントだったと記憶しています。特に運動会は、部署の垣根を越えた交流の場として、組織の一体感を育む象徴的な事業でした。

しかし、2000年代に入ると、この華やかな時代は終わっていきました。

レクリエーション事業の衰退と価値観の変容

インターネットの普及と共に、個人の価値観は加速度的に多様化しました。若手組合員の間では、「休日にまで会社の人と会うのは億劫だ」という意識が顕在化。ワーク・ライフ・バランスへの関心が高まるにつれ、運動会やボーリング大会は参加率の低下に直面し、企画そのものが見送られる時代となりました。

その中で、かろうじて存続したのが講演会でした。引退したばかりの有名プロ野球選手、オリンピアン、タレント文化人など、著名人を招聘できれば、並行して集客も上がりました。組合員の「すごい人を呼んだな」という称賛は、執行部の努力が報われる瞬間であり、参加率という明確な成果に直結していました。

しかし、講演会にも新たな課題が立ちはだかります。

「著名人」神話の崩壊と講演会のマンネリ化

2010年代に入ると、「著名人だから参加者が集まる」という神話は崩壊しました。テレビやSNSで著名人の話を聞くことができる時代に、わざわざ会場に足を運ぶ理由が希薄になったのです。アスリートの「勝利への道のり」や、文化人の「時事解説」が、若手組合員の心を動かすことは稀になりました。彼らはもはや、他者から与えられる感動やモチベーションを求めていなかったからです。

さらに、ビッグネームを招聘するための予算は高騰する一方、費用対効果は低下の一途をたどりました。「講演会はもはやオワコンなのか」という悲観的な声も聞かれるようになりました。しかし、この状況は講演会の終焉を意味するものではありません。

労働組合が提供する自己成長を支援する場へ

私は、講演会が今こそ、組合員に真に求められる価値を提供できる最も有効な手段であると考えます。重要なのは、その目的を「著名人による感動提供」から、「組合員の自己成長を支援する」という新たな価値創造へと転換することです。

現代の若手組合員は、将来のキャリアへの漠然とした不安を抱え、自身のスキルアップに強い関心を持っています。彼らが求めるのは、「自分自身の未来に役立つ情報」。仕事や人生の悩みを解決する具体的なヒント、すなわち「どうすれば市場価値を高められるか」「いかに今の仕事で成果を高めるか」「豊かな人生を送るための選択肢は」といった、目の前の実践的な内容や問題解決、個人の中長期のビジョン設計に強い関心を示します。

労働組合がこのような講演会を企画することは、「組合は私たちの成長を真剣に考えてくれている」という信頼と、活動へのエンゲージメントを飛躍的に高めます。そこで得た学びを職場で実践することで、個人の成長が組織全体の活力となり、企業にも好影響を与える。このサイクルこそ、これからの労働組合が築くべき理想の姿ではないでしょうか。

講演・研修はオワコンではない

講演・研修はもはや、単なるレクリエーション事業ではありません。それは、組合員一人ひとりの「自己成長」というニーズに応え、組合の存在意義を再定義するための重要なツールです。この変革を主導できるかどうかが、これからの労働組合の役割ではないでしょうか…

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