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労組が経営のチェック機能を果たすために

労働組合が経営を「チェック」するために

労働組合の真価は「経営の対等なパートナー」であること

労働組合の役割は、単に賃上げ交渉や労働条件の改善に留まりません。企業が健全に存続し、そこで働く組合員の雇用と生活が守られるためには、組合が「経営のチェック機能」を果たすことが不可欠です。

しかし、「経営のチェック」とは、感情的に経営陣の提案に反対することではありません。本来、それは経営方針や戦略の問題点を論理的に指摘し、組合員や社会にとってより良い方向へ企業を導く「対等なパートナーシップ」を意味します。

原則、労働組合員は管理職ではありません。もちろん執行部も同様です。つまり、日常業務の延長線上にない「経営」という巨大なテーマを前に、そのチェック機能が十分に発揮されていないのが現状です。
専門知識の不足から、経営戦略について「よく分からないから賛成するしかない」「理解できないから反対する」という状況に陥ってしまうケースも少なくありません。

今こそ、労働組合の執行部は、企業との対話で真のリーダーシップを発揮するために、「経営スキル」の習得に投資するタイミングではないでしょうか。

経営をチェックするための3つの基本スキル

組合が経営陣に対して建設的な提言を行うためには、以下の3つのスキルが必要です。

財務諸表を読む力(ファイナンスリテラシー)
企業の経営状態を最も客観的に示すのが財務諸表です。これは、単に「儲かっているか否か」を見るためのものではありません。

損益計算書(P/L): 企業の収益構造や利益率を把握し、「なぜこの事業の利益率が低いのか」「人件費の比率は適正か」といった議論の根拠とします。

貸借対照表(B/S): 企業の財務安定性、つまり「体力」を把握します。特に自己資本比率や現預金の状況から、急な環境変化や不況に耐えうるリスク耐性をチェックします。

キャッシュフロー計算書(C/F): 企業の「現金の流れ」を理解します。どれだけ利益が出ていても、手元の現金がなければ事業は継続できません。新規投資の妥当性や資金繰りの健全性を判断する際の最重要指標です。

これらのスキルを習得することで、経営側が提示する中期経営計画や大規模な設備投資計画に対し、「その投資は将来のキャッシュフローを本当に改善するのか」「利益率改善の目標値は、このコスト構造で実現可能なのか」といった、具体的な数字に基づいた指摘が可能になります。

戦略を分析・評価する力(ロジカルシンキングと戦略的視座)
経営戦略をチェックする上で最も重要なのが、論理的な思考力と全体を見通す戦略的な視座です。

SWOT分析の活用: 経営戦略が、自社の「強み(Strength)」を活かし、「弱み(Weakness)」を克服し、市場の「機会(Opportunity)」を捉え、「脅威(Threat)」を回避する設計になっているかをチェックします。

市場理解と競合分析: 組合員が働く企業の業界が今後どのように変化するか、主要な競合他社がどのような戦略を取っているかを理解し、自社の戦略が市場のトレンドに合致しているかを検証します。

戦略と現場の整合性: 経営戦略が「絵に描いた餅」になっていないか、現場の組合員がその戦略を理解し、具体的な行動に落とし込めるレベルまでブレイクダウンされているかをチェックします。現場の代表者である組合だからこそできる、「実行可能性」「持続可能」のチェックです。

経営理念とリスクを問う力(ガバナンスと社会的責任)
労働組合は、単なる利益追求の議論だけでなく、企業が社会においてどのような役割を果たすべきかという大局的な視点を持つべきです。

パーパス・理念への回帰: 企業が行う事業や戦略が、企業の根本的な経営理念やパーパス(存在意義)に合致しているかを問い直します。理念から逸脱した短期的な利益追求は、最終的にブランドイメージを損ない、組合員の雇用にも悪影響を及ぼします。

ESG/SDGsの視点: 環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)といった非財務情報のリスクを指摘します。例えば、サプライチェーンにおける人権問題や環境負荷低減への取り組みが不十分であれば、それは長期的な企業価値を損なう重大な経営リスクとなります。

倫理観とコンプライアンス: 経営層の倫理観が問われる事態が発生していないか、内部統制やコンプライアンス体制が機能しているかを厳しくチェックします。これは、組合員全体の信頼と生活を守るための最後の砦です。

経営スキル習得がもたらす最大の価値

組合執行部が経営スキルを習得することは、経営層の「隠れた問題点」を指摘し、企業の持続可能性を高めること以上に、より大きな価値をもたらします。

それは、組合員と経営層の双方からの「信頼」の獲得です。

経営の言葉で議論できる執行部は、「プロの視点を持っている」と経営層から認められ、より対等で深い情報開示を引き出すことができます。また、組合員に対しては、「組合は私たちの未来を守るために、専門的な視点で闘ってくれている」という安心感を与え、組合活動へのエンゲージメントを飛躍的に高めます。

このスキルは、組合活動だけでなく、執行部メンバー自身のキャリアアップにも直結するものです。労働組合が未来の企業経営を担う人材を輩出する場となるためにも、「経営スキル」の向上を検討しましょう。

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