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ワーキングケアラーはコスパが悪い?

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 介護や看護、家族のケアをしながら働くワーキングケアラーは、急な遅刻早退、お休みや休暇をとるので細切れの仕事といわれます。正直、生産性が低いなと感じてはいませんか。ほんとうに、生産性が低いのでしょうか。もしかしたら思い込みかもしれません。

 唐突ですが・・・「一丁目一番地」「ガラガラポン」「全員野球」「なるはや」「交通整理」「ポンチ絵」…みなさん、この言葉、どのくらいわかりますか。これらの言葉、昭和のビジネス用語で今はほぼ通じないと笑い話的にTwitterでも紹介されていました。

反対に、若者言葉になると、昭和のおじさんおばさんにとってはさっぱり意味がわからず、世代間に大きな溝があることを実感させられます。かくいう私自身も昭和ど真ん中なので、まったく宇宙語です。時代の変化は激しさを増す最近、しみじみため息が出る気持ち、わからなくはないです。ただ、ため息ばかりついてもいられない。なんとかしようと鉛筆ナメナメ・・・

目次

仕事の生産性は時間?

 昭和のビジネス用語、このほかにも「蕎麦屋の出前」「テレコ」「手弁当」「落としどころ」「写メ」などもあり、ほんと苦笑いですね。そのひとつ「たばこ部屋」という言葉はご存知ですか。私、知らなかったんです。そんな言葉があるなんて。もちろん、存在は知っています。仕事の合間にタバコ休憩を取る人たちの白く煙るお部屋のことです。

 今では建物の外でしか喫煙ができない、かんたんに購入できない、度重なる増税、健康への懸念と家族からのブーイングにより、愛煙家が減りました。当時は1時間に1〜2本、10分程度の休憩をしながら、ここだけのコソコソ話をするのですが、当時は、それが仕事の生産性を向上させるとして重宝されました。会議の根回しやトラブルの解消策、ややこしい人間関係、派閥形成、上司や部下の愚痴、仕事終わりの飲み会や、下世話な話まで、たばこの煙とともに、ありとあらゆるモヤモヤを吐き出し、気分をスッキリさせて仕事に戻ります。これでサクサク仕事が進むとなると、たばこ部屋も価値があったのでしょう。

 1日7〜8回、毎回10分の休憩をとる一方、タバコを吸わない人は休憩をとらずに仕事をするので、たばこ吸うVS人吸わない人の対立もありました。離席中の電話の対応などを担わされた吸わない人からすると、1日トータル1時間くらいは「遊んでいる!」という話ですから当然です。

 しかし、対立はともかく、仕事の生産性は両者互角。「従事する時間」より、集中力、根回し、下準備などマネジメント次第だと、個人的には確信をしています。

細切れ時間で働く人々

24時間のすべてを仕事に投入できた昭和の働き方は、生活を犠牲にすることができました。家庭を守る専業主婦もいたし、終身雇用という生涯の保険もありました。当然、犠牲にするほどの価値があったってことです。

 ところが、です。人手不足からくる女性・シニア・外国人雇用、短時間・短期間雇用という雇用形態の変化、フリーランスと副業兼業の増加と劇的なイノベーションの嵐に、24時間働ける人より、細切れ時間で働く人が圧倒的に増えているのが今です。たばこ部屋で共通言語を使って仕事の段取りを進めていけばなんとかなった時代とは違い、細切れ社員同士の確実なパス回しが必要となってきました。生産性向上をめざすには、今までにはない「業務マネジメント」が求められるということです。

まずは情報の共有から

 では、どのように業務マネジメントを進めると良いのでしょうか。従来であれば、全員参加の朝礼があってそこで幹部から上司からの指示命令、進捗状況、業務上の注意点などが発信されていました。壁をみれば成績が日々記載された棒グラフがあったりして、チームミーティングなどは雑談のなかでなんとなく共有できていました。ミスがあっても雰囲気でカバーもでき、飲みニケーションでモチベーションは保てましたし、たばこ部屋で本音話もできましたが、もうすでに過去の話。旧来の方法では抜け漏れが多発し、共有できないことで仕事が滞ります。そして、そのネットワークから外れた人が、働けない人呼ばわりされてしまうのです。これが、細切れ勤務をせざるを得ないワーキングケアラーと、昭和に輝いていた「働かないおじさん(おばさんも)」なのです。今、オンラインを活用した新しい情報の共有方法が導入し、試されてきています。

人と人との共有と共感

 そして、共有と共感の言葉を使うことが大切です。冒頭の昭和のビジネス用語は、当時、ひとこと言えばニュアンスまでわかりあえていました。多様性の前に、コミュニケーションに必要な言葉とその使い方、そしてタイミングが複雑になって、わかりあえなくなっているのが現状です。

 実際に、介護や看護、家族のケアをしながら働くワーキングケアラーの一人ひとりが抱える悩みを共有したり、働かないおじさんと呼ばれながら悪態をつくしかない人や、たばこ部屋難民の人たちのことを考えてみてください。一人ひとりの心の声を聞いているでしょうか。これからは、一人ひとりの状況、願いや悩み、戸惑い、そして仕事への思いを共感したりしながら、仕事のパス回しをスムーズにする必要があります。こうした会話、雑になっていませんか。コスパの悪いお荷物社員にしているのは、その人個人を理由にしていませんか。

 今までなら雰囲気がいい会社悪い会社といわれたり、また、社内風土といわれたり、コミュニケーションが滞るといわれたりしますね。在宅ワークや時間差があっても、オンラインというツールを活用したり、言葉の使い方や対話のスキルを学ぶことで、今まで以上に信頼関係は作ることができますし、成功事例も増えています。

研修とツールの活用

私はいままで中間管理職を対象にしたマネジメント研修を20年続けてきたのですが、社会の変化にいちばん敏感なのが経営者、というよりも中間管理職の方々でした。今のままではダメだという課題感や、実践現場の難しさをリアルに実感しているからです。

研修で学んでいただいたスキルやノウハウをすぐに活用することで、働かない年上の部下のめざましい変化や、迷子になっていた若い社員が驚異的に成長する姿を報告してくれます。単に、人材育成研修と位置付けたり、便利だからとツールを導入するだけではなく、活用にもヒントがあります。

働きやすさから働きがいへ

仕事の生産性を高め、会社の成長と従業員の満足度を高めることは、経営者の願い。情報の共有と人との共有から働きやすい職場をつくり、生産性が高まる仕事を実現させませんか。そして、ワーキングケアラーと働かないおじさんおばさんたちのために、風通しのよい職場を作りのびのび仕事ができて、生産性を高め、みんなが笑える働きがいのある会社にする機会ととらえませんか。

まずは、経営幹部のみなさんで風土改革について話し合いをお勧めします。

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