研修不要論を考える
長年、人材育成、人材開発にかかわる仕事をしていると、嫌というほど否定的な意見を聞かされます。学校教育の弊害なのか、座学に強い抵抗感を持っている人が多い傾向です。
研修を企画する担当者はネガティブな反応に辟易としているでしょう。
・現場では役に立たない
・そんな時間があれば一件でも顧客先をまわるべき
よほど質の低い研修を受けてきたのか、現場とあまりに乖離した話に愕然とした経験をしているのでしょう。実際、そう言いたくなる研修があるのは確かですが…。
人材開発をしないと視野はどんどん狭くなる
研修不要派はベテラン層に多く「OJTで十分」「自分たちの時代は先輩の行動から学んだ」という意見がありました。しかしOJTは属人的で、教わる先輩によってクセが強い…。はっきり言ってしまえば、当たり外れがあるのです。それでは夢持って入社してきた新入社員は不幸です。
人はどんどん自分の中で常識をつくってしまいます。自分たちのやり方が正しいと決めつける。結果、若手社員も古い社内ルール、マイルールに固執するようになり硬直化してしまいます。
まさにビジネス視野狭窄です。
もちろん視野を拡げる活動や学習している社員もいるでしょう。
しかし、企業研修は講師の話をインプットすることだけが目的ではなく、アウトプットすることに価値があるのです。日ごろは接点がない部門や年次とのコミュニケーションも組織として成果に結びつくと考えます。
「そんな時間はない」といいますが…
「時間がない」「そんなことしている暇があれば1件でも多く営業したほうがいい」という意見も帰ってきます。
ご存知の方も多いと思いますが、ここで「七つの習慣」の有名なエピソードを紹介します。
森の中で木を一所懸命にノコギリを引いているきこりに出会ったとしよう。
『七つの習慣』スティーブン・R・コヴィー氏
「何をしているのですか」とあなたは訊く。
すると「見れば分かるだろう」と、不愛想な返事が返ってくる。
「この木を倒そうとしているんだ」
「すごく疲れているようですが……。いつからやっているんですか」
あなたは大声で尋ねる。
「かれこれもう五時間だ。くたくたさ。大変な作業だよ」
「それじゃ、少し休んで、ついでにそのノコギリの刃を研いだらどうですか。そうすれば仕事がもっと早く片づくと思いますけど」あなたはアドバイスをする。
「刃を研いでいる暇なんてないさ。切るだけで精いっぱいだ」
人的資本経営の時代
まさに人材開発を経営戦略の基盤とする時代になっています。それが人材資本経営です。
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
期待する成果には「生産性向上」「企業ブランディング向上」「従業員エンゲージメント向上」が挙げられます。さらに言えば、投資家や優秀な就活生にも注目されます。
いままで社員研修はやったことがないという中小企業でも人材開発に関心を持つ経営者が増えてきました。当方にも経営者自らお問い合わせをいただいたりします。
持続可能な企業を目指して人材開発を計画しませんか?
代表の安宅は講演研修業界で30年以上の経験を持ち、延べ7000案件の企画に携わっってきました。
上場企業の研修からはじめて外部講師を招く中小企業の案件まで多様な経験を持っております。
お役に立てることもあると思います。是非、お気軽にお問い合わせ下さい。