ガニエの9教授事象

「ガニエの9教授事象」はインストラクショナルデザインでは最も有名なフレームです。
効果的な設計方法として一般に評価されているフレームを使わない手はありません。

この記事では「ガニエの9教授事象」 をいかに教育設計に活かすかのエッセンスをご紹介します。

1.学習者の注意を喚起する
2.学習者に目標を知らせる
3.前提条件を思い出させる
4.新しい事項を提示する
5.学習の指針を与える
6.練習の機会をつくる
7.フィードバックを与える
8.学習の成果を評価する
9.保持と転移を高める

フロリダ州立大学名誉教授 ロバート・M・ガニエ博士

「9教授事象」 で営業研修を考えてみましょう

1.学習者の注意を喚起する

簡単な「クイズ」「ゲーム」「心理テスト」などで注目を集める。オンライン研修であれば投票機能を使えば効果的ですし操作の練習にもなります。研修コンテンツに直接関係ないものでもいいですが、多少なりリンクしているほうが外れもなく出題者も安心でしょう。

例:研修コンテンツに関係するクイズ 

先日、内製化プロジェクトチームから皆さんに「顧客に刺さった言葉」のアンケートを取らせてもらい集計しました。なにが一番多かったと思いますか?三択です。
「  A  」「  B  」「  C  」

2.学習者に目標を知らせる

この研修のゴール設定を明確にします。スタート時とのビフォーアフターを示すことは講師側、受講者側共通の目標設定です。

例:プロセスとゴールを共有

今日の研修ではステップ4「クロージング」から『■■■■■』をケーススタディをご紹介したうえで、現場を想定したロールプレイをします。研修後すぐに使えることがこの研修のゴールです。

3.前提条件を思い出させる

これまでの研修で学んだことを振り返り、今回の内容と連携しておきます。

例:前回の内容の関連性

前回、ステップ3「プレゼンテーション」で「◎◎◎◎◎」を学びましたが、現場で使われたでしょうか?今回の『■■■■■』は「◎◎◎◎◎」が伏線になっています。

4.新しい事項を提示する

これまでのコンテンツででていない概念やスキルを提示します。

例:既存の理論を使う場合

今回の『■■■■■』には心理学の「▼▲▼▲▼▲」の概念を一部引用しています。当社の営業フローに落とし込む前に「▼▲▼▲▼▲」のエッセンスを伝えておきます。

5.学習の指針を与える

本研修の重要ポイント、スキルの基礎となる項目を先に告知しフックをつけておきます。

例:重要ポイントの挿入

本研修では、たくさんの話をさせていただきますが「 a  」「 b  」「 c  」は、必ず押さえておいてください。

6.練習の機会をつくる

聞くだけでは行動変容しません。必ずロープレなどのワークを入れましょう。

例:ロールプレイングの実行

ここに文字を入力それでは『■■■■■』を実際に体験していただきます。いまから3人一組で顧客の意思決定権者と担当者と、当社営業パーソンの役割でロープレをします。

7.フィードバックを与える

ロープレの良かったところや改善点を伝えます。社内講師で評価をしにくいケースでは他の参加者に意見をもらう方法もあります。

例:他の参加者の評価を引き出すケース

いまのAさんのクロージングに関して、Bさんから見てよかった点、ここをもっとこうしたらいいなどの感想をいただけませんか。

8. 学習の成果を評価する

今回の研修の理解度を確認するためにテストをします。

例:虫食いを埋めることで全体の復習を促進

それでは今から今日のコンテンツのまとめを配布します。何カ所かポイントが虫食いになっていますので記入いただけますでしょうか?

9.保持と転移を高める

研修内容が現場でうまく機能したかを確認します。

例:次回研修で成果共有

次回の研修は2週間後になります。その間、今回の学習したことを活用する機会があると思いますので、実行してみて反応はどうだったか、成果につながったかの発表をしていただきます。

まとめ

これはあくまで教育学のフレームですので、こだわりすぎるとアカデミックな研修になり不評を買うことがあります。うまく活用しながらプロの講師としての”独自性”を発揮しましょう。