トヨタで学んだカイゼン文化と変革マインド

元トヨタ自動車 レクサスブランドマネジメント部長


高田 敦史 A.T. Marketing Solution代表
日本を代表する企業であるトヨタ自動車と言えば、多くの人はトヨタ生産方式やカイゼンという言葉が思い浮かぶだろう。しかし、高田氏は「トヨタのもう一つの強みは変わることを恐れないことだ!」と言う。創業以来の強みを伝承しながら、時には大胆にチャレンジする風土(伝統と革新)こそトヨタの強みなのだと。
営業部門、マーケティング部門を中心に31年間をトヨタで過ごした高田氏は、アジア地域統括の新会社(Toyota Motor Asia Pacific)の立ち上げ、宣伝部門の分社化(Toyota Marketing Japan)を主導、キャリアの最後にはレクサスのグローバルブランド統括責任者として、レクサスを“クール”な高級車に生まれ変わらせた張本人である。企業がチャレンジ精神を持ち続け、改革を続けるためには組織のバックアップを引き出す個人の力が必要なのだ。
1961年 | 奈良県生まれ。桐朋中学校、桐朋高等学校。一橋大学卒業。 |
1985年 | トヨタ自動車株式会社入社。宣伝部に配属され、イベント企画、メディア手配、広告制作など、宣伝部の全領域を経験。 |
1993年 | 商品企画部に異動。消費者のライフスタイル分析と新コンセプト車の企画業務を担当。Will ViやFun Cargo(現行モデル名:ラクティス)といった若者向けの車を世に送り出す。 |
2000年 | 海外駐在。タイにて現地生産モデルの商品企画、広告企画。その後、シンガポールにてアジア全域の商品企画責任者に就任。 |
2005年 | アジアから帰国し、商品企画部に異動。クラウン、86、レクサス各モデルの商品企画担当室長。その後、全モデル×全世界の導入プランの作成担当室長。 |
2009年 | 宣伝部の別会社化プロジェクト(Toyota Marketing Japan)を担当。分社化後は自らマーケティングディレクターとして、REBORNプロジェクト等を通じ、トヨタの新しいイメージ作りに貢献。 |
2012年 | 再び本社に戻り、レクサスブランドマネジメント部長に就任。グローバル規模でのリブランド活動を推進。斬新な広告、イベントなどを通じて“クール”な高級車に生まれ変わらせる。 |
2012年 | A.T. Marketing Solutionを設立。マーケティング戦略の企画からブランディング、コミュニケーションの実施施策についてのコンサルティング業務、講演活動等を行う。経済産業省 産地ブランディング活動(Local Creators’ Market)プロデューサー、一般社団法人ブランドマネージャー認定協会アドバイザー、広島修道大学非常勤講師等も務める。 |
講演テーマと概要
「トヨタで学んだリーダーシップ~組織の士気を高めチャレンジ集団を作る~」
「トヨタで学んだカイゼン文化と変革マインド」
トヨタの強みであるカイゼン文化は製造現場だけの話ではない。事務部門においても、徹底した現状分析と問題解決の手法がOJT(教え教えられる文化)を通じて脈々と伝えられている。一方、最近では過去の成功に安住せず、トヨタ自身を変革する動きも活性化している。トヨタの両面を体験した経験から、トヨタの伝統的な強みと更にそれを変えていこうとする取り組みについてお話します。
1989年に誕生したレクサスは、究極の品質とおもてなしの接客によりわずか10年で米国ナンバー1の高級車ブランドとなった。その後も欧州、中近東、日本、中国にも導入を進めながら、2010年以降は大胆なブランドポジショニングの変更により進化を続けている。商品企画、ブランディングの両面から長年レクサスに関わってきた経験から、レクサスの戦略について具体的な話をするとともに、富裕層向けマーケティングについての示唆をご提供します。
「自動車の未来、100年に一度の変革期に起こる電動化と知能化」
AIの登場により、時代変化のスピードは年々高まりつつあります。その流れは製造業も含めた全ての産業を飲み込んでいくでしょう。電動化と知能化の流れの中で「100年に一度の変革期」というわれる自動車業界に31年間在籍し、「トヨタの戦い、日本の未来。」の著者である講師が、トヨタの事例を用いつつ、今後の日本のモノづくり企業の方向性と経営のあり方についてお話しします。
日本発のグルーバル高級ブランド「レクサス」は1989年にアメリカから導入された。その成功の背景には「究極の品質」に加えて、販売店舗での徹底したホスピタリティにあった。特に、2005年の日本市場導入時には、「クルマだけではなくCS(お客様の満足)を売る」という掛け声の下で、今までの自動車販売の常識を超えた様々な施策が導入された。レクサスのおもてなしは、販売現場を「営業の場」を超えた「ブランディングスポット」に変えたのである。
多くの企業がマーケティングという言葉を使っているが、その定義や役割を明確に理解している社員は多くありません。トヨタ自動車での長年の実務経験や独立後の実例もふまえながら、「組織人として使えるマーケティング」、例えば、マーケティングとセールスのあるべき関係、マーケティングにおけるブランディングの役割等について分かりやすくお話します。
~自分らしく勝つ6つのシナリオ、15の心得~
マーケティングの専門家であると同時に「会社を50代で勝つ(集英社)」「45歳の壁、55歳の谷(Speedy出版)」の著者である高田がこれからのサラリーマンの生き方を提言する。今後の日本企業は「65才定年」の時代になるが、多くの方は40代半ばで出世の限界を迎え、50代半ばで役職定年となる。サラリーマン1800人を対象にした調査に基づき、トヨタ自動車を54才で退社して独立した自身の経験も交えながら、今後のシニア層の働き方、生き方を分かりやすく解説していく。