ストップ!熱中症~猛暑のなかで安全に働くために
近年、地球温暖化の影響もあり、日本各地で猛暑日が記録される年が増加しています。特に建設現場では、屋外での作業や重労働が伴うため、熱中症のリスクが非常に高くなっています。本稿では、建設現場における熱中症のリスクと、その対策について解説します。
猛暑化する日本と建設現場の熱中症リスク
近年、日本の夏はますます暑くなり、熱中症による健康被害や死亡事故が後を絶ちません。特に建設現場では、高温多湿な環境下での作業が長時間続くため、熱中症のリスクが非常に高くなります。
建設現場での熱中症のリスクを高める要因としては、以下の点が挙げられます。
- 高温多湿な環境: 屋外での作業が多く、日射による高温や湿度の高い環境に長時間さらされる。
- 重労働: 重い資材の運搬や身体を動かす作業が多く、体力が消耗しやすい。
- 個人保護具の着用: ヘルメットや安全靴など、熱のこもりやすい個人保護具を着用しなければならない。
- 水分・塩分の不足: 汗を大量にかくため、水分や塩分が不足しやすく、脱水症状になりやすい。
- 休憩時間の不足: 作業に追われ、十分な休憩が取れない場合がある。
STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
厚生労働省、中央労働災害防止協会など各労働災害防止団体、日本労働安全衛生コンサルタント会、全国警備業協会でも平成29年から「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を展開し『早めの対策で 熱中症死亡災害ゼロを目指しましょう!』と警鐘を鳴らしています。
なぜ、安全衛生大会で「熱中症」の講話が少ないのか…
しかしながら安全衛生大会で熱中症の講話をするケースは多くありません。一般に安全衛生大会は5月から8月あたりに実施されるため講師やテーマを決めるのは2月か4月あたりとなります。つまり、まだ猛暑に入っていないため熱中症のリスクが後回しになりがちなのです。
建設現場における熱中症対策
建設現場における熱中症対策は、労働者の命を守るために極めて重要です。具体的な対策としては、以下のものが挙げられます。
1. 環境対策
- WBGT値の測定と管理: WBGT値(湿球黒球温度)を測定し、作業環境の暑熱指数を把握する。
- 休憩所の設置: 暑さを避けられるような休憩所を設ける。
- ミストシャワーの設置: 作業場所にミストシャワーを設置し、気温を下げる。
- 遮熱服の着用: 体温上昇を防ぐために、遮熱効果のある作業服を着用する。
2. 作業管理
- 作業時間の調整: 気温が高い時間帯は、作業内容を調整したり、休憩時間を増やしたりする。
- 作業者の交代制: 同じ作業を長時間続けさせず、作業者を交代させる。
- 軽作業への切り替え: 体力消耗が激しい作業は、軽作業に切り替える。
3. 体調管理
- 水分・塩分補給: こまめな水分補給を促し、経口補水液などを用意する。
- 体調不良者の早期発見: 定期的に作業者の体調を確認し、異変を感じたらすぐに休憩させる。
- 健康診断の実施: 定期的な健康診断を実施し、早期に健康問題を発見する。
- 熱中症に関する教育: 熱中症の症状や予防方法について、労働者に周知徹底する。
まとめ
建設現場における熱中症対策は、企業の社会的責任として、そして労働者の生命を守るために不可欠です。近年、ますます暑くなる日本の気候の中で、建設現場での熱中症対策は喫緊の課題となっています。
企業は、労働基準法をはじめとする関係法令を遵守し、労働者の安全衛生に最大限配慮する必要があります。労働者自身も、熱中症の危険性を認識し、自己管理を徹底することが重要です。
安全な建設現場の実現に向けて、関係者全員が協力して取り組んでいくことが求められます。
今後の課題
- WBGT値の活用: WBGT値に基づいた作業計画の策定や、作業制限の導入を推進する。
- 個人に合わせた対策: 労働者の年齢や体格、健康状態に合わせて、個別の熱中症対策を講じる。
- 最新の技術の活用: ドローンやIoTを活用した作業環境のモニタリングや、熱中症予測システムの導入を検討する。
熱中症対策は、単なるコスト削減ではなく、企業の持続的な発展のためにも不可欠な投資です。