労働組合の価値の見える化
労働組合があって本当によかった!
近年、「労働組合離れ」が叫ばれる中、労働組合の必要性について疑問視する声も少なくありません。しかし一方で、中小企業を中心に「職場環境が改善されない」「働き方改革が進まない」「労働条件が不利」といった悩みを抱える労働者も少なくありません。労働組合の存在意義は、決して過去のものではなく、現代においても労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしているのです。
本記事では、組合員があたりまえと考えている労働環境が、労働組合があることによって享受されていることを再確認していただくことを目的に整理してみました。
項目 | 労働組合がある | 労働組合がない |
---|---|---|
賃金交渉 | 団体交渉で賃上げ交渉、ベア交渉が可能。賃金水準の底上げに繋がる。 | 個別交渉となり、不利な立場に置かれがち。賃金が低いまま固定化される可能性も。 |
労働時間 | 法定労働時間厳守、残業時間制限など、労働時間の短縮化を働きかけられる。 | 会社側の判断に委ねられ、長時間労働になりがち。 |
休日 | 休日数の増加、休日出勤の削減など、休日に関する労働条件の改善を図れる。 | 会社の都合で休日出勤を強いられる可能性が高い。 |
福利厚生 | 団体保険、保養施設など、充実した福利厚生制度の導入を働きかけられる。 | 福利厚生が乏しく、従業員の満足度が低い傾向にある。 |
安全衛生 | 労働災害防止活動、安全衛生に関する改善要求が可能。安全な職場環境を確保できる。 | 安全に対する意識が低く、労働災害発生のリスクが高い。 |
ハラスメント | セクハラ、パワハラなどの相談窓口があり、問題解決をサポート。 | ハラスメント被害があっても、相談できず孤立する可能性が高い。 |
労働条件 | 労働契約書の作成、昇給・降給の基準明確化など、労働条件の透明化を図れる。 | 労働条件が曖昧で、不当な扱いを受ける可能性がある。 |
解雇 | 不当解雇防止、整理解雇の基準厳守など、雇用を守ることができる。 | 会社の都合で簡単に解雇される可能性がある。 |
キャリアアップ | キャリアアップのための研修制度の導入、キャリアパス設計の支援など、キャリア開発をサポート。 | キャリアアップの機会が少なく、将来設計が困難。 |
労働相談 | 労働問題に関する相談窓口があり、専門家のアドバイスを受けられる。 | 労働問題が発生した場合、一人で抱え込むしかない。 |
団体交渉権 | 会社と対等に交渉できる権利を持ち、労働条件の改善を図れる。 | 個別で交渉するしかなく、不利な立場に置かれがち。 |
情報共有 | 会社の情報が共有されやすく、透明性の高い職場環境が築ける。 | 情報が遮断され、従業員が不安を抱える可能性が高い。 |
意見表明 | 意見を自由に表明できる環境が整い、職場全体の活性化につながる。 | 意見を言いづらい雰囲気で、職場が閉鎖的になりがち。 |
職場環境 | 働きやすい職場環境づくりに向けた改善活動を行うことができる。 | 職場環境が悪化し、従業員のモチベーションが低下する可能性が高い。 |
労働組合活動 | 組合活動を通じて、仲間意識を高め、連帯感を深めることができる。 | 孤立感を感じやすく、孤独な闘いを強いられる。 |
社会保険 | 社会保険加入に関するサポートを受けられる。 | 社会保険加入の手続きが煩雑で、個人で対応しなければならない。 |
年金 | 年金に関する相談や手続きのサポートを受けられる。 | 年金に関する知識が不足し、不安を抱える可能性が高い。 |
労働法 | 労働法に関する知識や情報を共有し、権利を守ることができる。 | 労働法に関する知識が不足し、権利を侵害される可能性がある。 |
地域社会 | 地域社会との連携を深め、地域貢献活動に参加できる。 | 地域社会との関わりが薄く、社会の一員としての意識が薄れがち。 |
企業の社会的責任 | 企業の社会的責任を果たすよう働きかけ、持続可能な社会の実現に貢献できる。 | 企業の社会的責任に対する意識が低く、社会問題の解決に貢献できない。 |
*あくまで個人の感想です。労働組合がなくても優れた労働環境を構築している企業はたくさんあります。
講演、研修を通じて組合員に労働組合の価値を再確認してもらおう
講師のなかには会社員時代に労働組合執行部にいた方もおります。組合員から経営者、個人事業主になって感じた労組のメリットを話してもらうことは効果的です。
元・大手信託銀行で労働組合委員長
組合活動に夢と誇りとやりがいを!
梶浦正典 ビジネス心理コンサルティング主席
慶應義塾大学法学部卒業。中学より10年間体育会ラグビー部に在籍。三井信託銀行株式会社(現三井住友信託銀行)にて個人営業、法人営業、法人企画、人財育成を担当。
労働組合において副委員長2年、委員長2年を歴任。
元・鉄道会社労働組合の事務員
組合事務員が間近で学んだ
松尾久美子 マーブルイノベーション代表
大阪府立大学(現:大阪公立大学)卒業後、鉄道会社の労働組合に就職。組合員2600人の組織運営をサポートし、20~20名の組織リーダーに命令ではない巻き込み力を発揮。
人材育成・キャリア支援の価値提供が求められている
個人がリスキリングやリカレントを追求し、企業は人的経営資本に舵を切った時代において、労働組合は人事部が出来ないような多様な講演・研修を提供することで、その存在意義を示せるのではないでしょうか。